2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

5-7

シャワーは先にスルガに貸したけれど、彼はすごい速さで濡れて帰ってきた。本当に水でも浴びたのかと思うほどの時間だった。ツイードがタオルを用意してから、シャンプーの位置を教えようとシャワールームに顔を出したときにはもう、スルガがそこから出てき…

5-6

触れた唇は、熱かった。 位置を確認するためだけに頬に置いたはずの手に、ぐっと力がこもる。 ツイードが舌先でちろっとスルガの唇を舐めると、すぐにスルガが彼の舌を差し入れてきて、口の中奥深くで溶け合うようになった。 舌を絡めるキスで、こんなに長く…

5-5

「俺……今、なんで謝られてます……?」 スルガは、困惑したまま半笑いで首を傾げていた。 「え。さあ、なんででしょうね」 結論が出たツイードは、自分の中の折り合いがついたものだから、頭の中の荷物が全部きれいに片付いたせいで、細かいことはどうでもよく…

5-4

宿は、酒場の目と鼻の先にあった。 古いがシンプルな造りの安宿で、入口の掲示板以外は壁に何もかかっておらず、カーペットすら敷かれていない。 ツイードの借りている部屋は、三階の廊下の突き当り右手側だ。 狭く長い廊下を歩くツイードの後ろを、スルガは…

5-3

外はもう、すっかりと夜になっていた。 最後に食べた食事は、狩りがひと片付けした後に取った随分と遅い昼食で、そのせいか今はまだなんの空腹も感じない。 狩りをしていると、こういう日ばかりになる。たまり場の打ち上げに参加する夜なら、適当に肴をつま…

5-2

実際のところ、今日やらなければならない用事なんて本当はなかった。 プロンテラの街を散漫に歩きながら、ツイードは暮れかけの空を見上げる。 行く当てはないが、このまま帰るのも嘘をついていたみたいでなんだか嫌だ。仕方なく、ツイードの足は教会へと向…

5-1

その日の狩りはゲフェンだった。戦闘は万事滞りなく、無事プロンテラに戻ってきた頃には夕暮れで、空がクリーム色から紺色へと変わってきていた。 ツイードは聖水やらブルージェムストーンやらの消耗品が多く、その書き出しにけっこう時間を食った。結局、清…